Asahi's notebook

大麦小豆二升五銭

文体雑感

 ここしばらくのところ、言葉のリズムが気にかかっている。いま普段使いにもちいている日本語の書き方は、どうももともとの日本語のリズムではないような感じがして、そのくせ、ではどういう流れが心地よいのかと言われれば、これと言えるほどの感覚も持ち合わせていない。
 ではひとつ古語でも声に出して読んでみればと思ったところが手元にないので、しばらく放置していた。が、今どき探す気になればネットにいくらでもあることは分かりきっており、先日、ちょっとひとつ見てみるかと青空文庫を訪れた。古典など高校で習ったきりなので碌に読めもしないが、この際意味は別に分からなくともよい。ただ集中力はないので、気が向いたときだけページを開いて目移りし、今度は古い小説などを拾い読みした。
 青空文庫では作品ごとに新字旧字体や仮名遣いの表記があるが、戦前のものだと同じ作家の作品でも入り交じってまちまちである。さらに新字新仮名といっても言葉遣いは今のものと随分と違う。現代語でもなく、古語でもない。言文一致以前の文章観が残っていたであろうし、書き言葉としての言語感覚は私たちとかなり違ったろう。読んでいてひどく新鮮で、何とは知らず心地よい。流れのよさは古語にもあるが、そちらには少し隔たりがあって、こちらの感覚が追いつかない。日常的に使っている言葉と違うから、まあそんなものだろう。