Asahi's notebook

大麦小豆二升五銭

2019-01-01から1年間の記事一覧

英国の年の瀬

12月24日。近所のショッピングセンターは家族連れで賑わい、まさに大晦日の様相だった。大きなスーパーが二軒と家電、雑貨、本屋、コーヒーの店などなどが並んでいて普段から人は多いけれど、この日はあれこれとおしゃべりをしながら大きな荷物を抱えた家族…

先週の稽古

フェンシングの先生とかなり時間を掛けて自由攻防稽古をする機会があった。そのとき感じたことがらが多少言葉になりそうなので、書いておこうと思う。 まず武器に慣れているかどうかはとても重要であるということ。判りきったことを言っているようだが、実際…

云年振りの型

最近はときどき抜刀の稽古をしている。ずっと前に教わったきり、何を目標に稽古したものかわからずに放ったままになっていた正座の型だ。 素手の組み技であれば、相手に影響を与えようという意思の表れが動きの妨げとなることは実感しやすい。また、先日はバ…

雲と風の日々

携帯電話にキャリアからのメッセージが届いた。前回トップアップしてからもう一月経つらしい。先週同じお知らせ(来週で期限がきますよ)を受けたときにはまだ数日あるなと思っていたのだが、その数日はもうどこかへ行ってしまったらしい。もう少しゆっくり…

見えるものがすべてではない

結構長く日本に帰っていた。久々の日本ではすしやラーメン、あんみつといった日本食文化の恵みをむさぼったが、数ヵ月越しにスコットランドへ戻れば、今度はこちらのケーキや揚げ物などにフラフラと引き寄せられる。斯様に人心は無常を移ろい、欲とは限りの…

移転しました

ヤフーブログのサービス終了に伴いこちらのはてなブログに移転しました。 まあ移転作業をやったのは少し前なのですが、一応区切りが分かるように書いておきます。過去記事の内容は変わっていません。カテゴリーを若干弄った程度です。 もともと更新頻度は低…

「お前にはユーモアのセンスがない」

イギリス人にとって最大の罵倒は「お前にはユーモアのセンスがない」なのだという。以前2,3名のイングランド人から教えてもらった話だが、これが国民の共通認識なのか、それとも誰かの本にでも登場する有名な文句なのかは判然としない。 どちらにしても、そ…

身の規矩と…

ヨーロッパの剣術教本によく登場する図がある。 これは1400年代イタリア北部のフェンシング・マスターによって書かれた本に載っているものだが、見てのとおり人間の体に対する基本的な太刀筋を図示したものだ。 はじめてこちらの練習用の剣を手にしたときは…

緑色と滋味

Baby sproutという野菜がある。日本語では芽キャベツというのだろうか。ミニトマトくらいのサイズの、小さなキャベツである。味もキャベツに近いが独特の香りがある。 イギリスではごく一般的な野菜で、とくにクリスマスには定番の食材である。イギリス人た…

空白の大きさは

言葉には表面と裏面がある。表面はその意味によって示されること。共有されるもの。公(おおやけ)としての言葉。言葉は重ねることによってそれを指し示す。積み重なれば隙間が生まれ、そこに「ある」ものによって「ない」ことがあぶり出される。これが言葉…

備忘録

何日か前(いや、2週間ぐらい前だったかもしれないが)、大好きな小説家の坂口氏がツイッターでしていた発言が目に留まった。細かいところは忘れたが、おおよそ以下のようなもの。 「日本の自殺者は今のペースで減っていけば、10年後には0になる計算だ。おれ…